美容室経営道内大手のモーリスフランク・ジャパン(札幌)は四日、企業譲渡の仲介役を請け負ったみずほ銀(東京)が契約をほごにして民事再生手続きを強要してきたために、譲渡が成立せず損害を被ったとして、みずほ銀と譲渡先の予定だったアデランス(東京)に、計約三億七千万円の損害賠償を求める訴えを札幌地裁に起こした。
モーリス社代理人の谷沢忠彦弁護士(大阪)は「大手銀行が優越的地位を利用して、買収会社とともに安く会社を乗っ取ろうと画策した、許されない行為」としている。
訴えなどによると、モーリス社の主力取引銀行のみずほ銀は今年七月、モーリス社に約二十七億円で会社をアデランスに譲渡する案を提示。モーリス社は、グループ会社が行っている温浴施設事業に専念するため、会社譲渡の仲介契約をみずほ銀と結んだ。しかし、みずほ銀とアデランスは九月、譲渡計画から一転、モーリス社に営業譲渡型の民事再生手続きを取るよう理由を説明せずに強要。モーリス社は経営危機はないとして拒否した。
モーリス社のグループ会社は、譲渡金を見込み温浴施設建設を三笠市で進めていたが譲渡が不成立になったことで工事を中止。モーリス社は連帯保証人として業者に違約金三億千五百万円を支払うなどの損害を負った。
営業譲渡型の民事再生手続きを行った場合、アデランスはモーリス社を八億円程度で購入できるといい、谷沢弁護士は「当初の譲渡案より二十億円近く得する。みずほ銀はアデランスに恩を売るつもりでむちゃな計画を考えたのだろう」と話す。
被告二社は「訴状の内容を確認してから対応を検討したい」と話している。
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